多くの中小企業が抱える営業の悩みとは
「営業人員が足りない」「新規開拓が思うように進まない」「大手企業との差別化が難しい」「営業コストが高すぎる」「営業担当者の属人化が進んでいる」――これらは、多くの中小企業経営者や営業責任者が抱える共通の悩みではないでしょうか。
本書『展示会のプロが見つけた 儲かっている会社は1年に「1回」しか営業しない理由!』の著者・清永健一氏は、こうした中小企業の営業課題に対して、展示会営業®という新しいアプローチで解決策を提示しています。今回は、読者の皆さんが日々直面している具体的な営業の悩みに対して、本書がどのように解決の糸口を提供するのかを解説します。あなたの会社の課題にも、展示会営業®が新たな打開策をもたらすかもしれません。
悩み①:「営業人員が足りない」問題の解決策
中小企業の多くは「営業人員の不足」に悩んでいます。特に近年の人材不足や働き方改革の流れの中で、営業部門の人員確保はますます難しくなっています。清永氏は、この問題に対して展示会営業®が効果的な解決策になると説きます。
展示会営業®の最大の特徴は、「少人数で大量の見込み客と接点を持てる」点にあります。通常の営業活動では、1人の営業担当者が1日に訪問できる顧客数は限られていますが、展示会では3日間で数百人の見込み客と商談できる可能性があります。
ある精密機器メーカーの事例では、営業担当者が3名しかいない中で、年間売上目標の達成に苦戦していました。清永氏のアドバイスで展示会営業®を導入したところ、3日間の展示会で127件の有望リードを獲得。これは、通常の営業活動では約3ヶ月分に相当する成果でした。その後のフォローに集中することで、限られた人員でも効率的に商談を進められるようになりました。
清永氏は「展示会営業®は、営業の『量』から『質』への転換を可能にする」と説明しています。つまり、闇雲に訪問件数を増やすのではなく、質の高い見込み客との効率的な商談に集中することで、少ない人員でも大きな成果を上げられるのです。
悩み②:「新規開拓が進まない」問題の解決策
多くの中小企業が直面するもう一つの大きな課題が「新規開拓の難しさ」です。知名度の低さや営業力の弱さから、新規顧客へのアプローチがうまくいかないケースが少なくありません。清永氏は、この課題に対しても展示会営業®が効果的な解決策になると提案しています。
展示会の最大の特徴は、「見込み客が自ら足を運んでくる」という点です。通常の営業活動では、こちらから積極的にアプローチする「プッシュ型」が中心ですが、展示会では興味を持った見込み客が自ら来場する「プル型」の要素が強くなります。これにより、初期の信頼構築のハードルが大幅に下がります。
ある特殊金属加工メーカーの事例では、従来の飛び込み営業や紹介営業では年間10社程度の新規顧客獲得が限界でした。しかし、業界最大の展示会に出展したところ、3日間で35社の有望見込み客と接点を持つことに成功。その後のフォローにより、半年間で12社との新規取引が実現しました。これは、従来の営業手法の約2.5倍の効率です。
清永氏は「展示会営業®は、新規開拓の入口を大きく広げる効果がある」と説明します。特に、知名度や営業力に課題を抱える中小企業にとって、展示会は新規顧客との出会いの場として大きな可能性を秘めているのです。
悩み③:「大手企業との差別化」問題の解決策
中小企業にとって、大手企業との競争は永遠のテーマです。知名度、信頼性、価格競争力など、様々な面で不利な状況に置かれがちですが、清永氏は展示会営業®を通じて、中小企業ならではの強みを活かした差別化戦略を提案しています。
展示会の最大の特徴は、「同じ土俵で勝負できる」という点です。展示会という場では、企業規模に関係なく、すべての出展者が対等に見込み客と出会えるチャンスがあります。この特性を活かすことで、中小企業も大手に負けない存在感を示すことが可能になります。
ある産業用部品メーカーの事例では、大手競合が多数出展する展示会で、「技術相談コーナー」を設置。大手にはない柔軟な対応と専門性の高いアドバイスを提供することで、来場者の関心を集めることに成功しました。展示会後には、「大手では対応できない特殊な要望」を持つ顧客からの引き合いが増加し、ニッチ市場での地位を確立。売上は前年比30%増を達成しました。
清永氏は「中小企業は『大手と同じことをする』のではなく、『中小企業だからこそできること』に集中すべき」と強調しています。展示会は、その強みを直接アピールできる絶好の機会なのです。
悩み④:「営業コストが高すぎる」問題の解決策
多くの中小企業が「営業コストの高さ」に悩んでいます。人件費、交通費、営業資料代など、営業活動にかかるコストは決して安くありません。特に、成果に結びつかない営業活動が続くと、コストパフォーマンスの悪さが経営を圧迫します。
清永氏は、展示会営業®がこの問題の解決策になると説きます。展示会営業®の最大のメリットの一つが、「1件あたりの見込み客獲得コスト」の削減です。清永氏のコンサルティング先企業のデータによれば、従来の訪問営業と比較して、展示会営業®では見込み客獲得コストが平均で40〜60%削減されています。
ある産業機械メーカーの事例では、従来の訪問営業では1件の有望見込み客を獲得するのに約5万円のコストがかかっていました。しかし、展示会営業®に切り替えたところ、1件あたりのコストが約2万円に低減。さらに、獲得した見込み客の質も向上し、成約率が1.5倍に上昇しました。
コスト削減の要因は主に「移動時間と交通費の削減」「効率的なスクリーニング」「営業資料の効率的な活用」の3つです。特に中小企業にとって、限られた営業リソースを最大限に活用できる点が大きなメリットです。
清永氏は「展示会営業®は、単なるコスト削減ではなく、営業活動の質を高めながらコストを下げる『一石二鳥』の手法」と説明しています。
悩み⑤:「営業の属人化」問題の解決策
中小企業の営業現場でよく見られる問題の一つが「営業の属人化」です。特定の営業担当者の個人的なスキルや人脈に依存した営業体制は、その担当者が退職した際に大きなリスクとなります。また、営業ノウハウが共有されにくく、組織全体の営業力向上が難しいという課題もあります。
清永氏は、展示会営業®を通じて「営業の仕組み化」を実現し、属人化の問題を解決する方法を提案しています。展示会営業®の特徴は、「準備」「実行」「フォロー」の各段階で明確なプロセスを設定し、マニュアル化できる点にあります。
ある電子部品メーカーの事例では、長年一人のベテラン営業マンに依存した営業体制に危機感を抱いていました。清永氏のアドバイスで展示会営業®を導入し、展示会の準備から当日の運営、フォローまでの一連のプロセスをマニュアル化。これにより、営業経験の浅いスタッフでも一定の成果を上げられる体制が整いました。
特に効果的だったのは「ヒアリングシート」の活用です。展示会での商談内容を統一フォーマットで記録し、データベース化することで、誰でも効果的なフォローができるようになりました。その結果、ベテラン営業マンの退職後も売上を維持することに成功し、組織全体の営業力が向上しました。
清永氏は「展示会営業®は、個人の『営業力』から組織の『営業システム』への転換を可能にする」と説明しています。特に、営業人材の確保や育成に課題を抱える中小企業にとって、この「仕組み化」は大きなメリットとなるでしょう。
実践的なヒント・考察
・自社の最も深刻な営業課題を特定し、展示会営業®でどう解決できるか検討する
・展示会は単なるイベントではなく、営業システム改革の一環として捉える
・成功事例を参考に、自社に合った展示会営業®の導入ステップを考える
■次回予告
最終回となる次回は「展示会営業®を実践するための具体的なステップと未来像」を解説します。本書の内容を踏まえ、あなたの会社が展示会営業®を導入することで得られる未来の姿とは?展示会営業®の第一人者・清永健一氏の集大成となる本書で、あなたの会社の営業改革を始めましょう。