vol.2『らしく起業』-「何もない」から始めるビジネスの種の見つけ方

vol.2『らしく起業』-「何もない」から始めるビジネスの種の見つけ方

「起業したいけど、自分に売れるものなんて何もない…」多くの人が抱えるこの悩みが、最初の一歩を阻んでいます。しかし、本当にそうでしょうか?本書『らしく起業』は、特別なスキルや経験がなくても、あなたの日常や過去の経験の中にこそ「ビジネスの種」が眠っていると教えてくれます。本連載第2回では、その核心である「マイビジネスの種」を見つけ出す具体的な考え方とヒントを深掘りします。


「私には、人に売れるようなものなんて何もない」という呪縛

「いつかは自分のビジネスを始めてみたい」という憧れを抱きつつも、「でも、私には人に教えたり、売ったりできるような特別なスキルも資格も経験もないから…」と、その一歩を踏み出せずにいる方は、驚くほど多くいらっしゃいます。

輝かしい経歴、専門的な資格、誰もが目を見張るような実績。そういったものがなければ、起業の世界では戦えない。私たちは、いつの間にかそんな強固な思い込みに囚われてはいないでしょうか。この「自分には何もない」という感覚は、新しい挑戦を阻む強力な呪縛です。

しかし、もし、その呪縛を解き放ち、あなたの中に眠る「価値の原石」を見つけ出す方法があるとしたら、知りたくはありませんか?今回ご紹介する書籍『らしく起業』の核心部分とも言えるのが、まさにこの「ビジネスの種の見つけ方」です。

本書は、私たちが「当たり前」や「コンプレックス」だと思っていることの中にこそ、ビジネスチャンスが隠されていると説きます。今回は、その画期的な発想法の一端に触れながら、あなたの可能性の扉を開くためのヒントをお届けします。

発想の転換:「すごいスキル」ではなく「深い悩み」に価値がある

多くの人が起業を考えるとき、まず「自分に何ができるか(Can)」から発想しがちです。プログラミングができる、デザインができる、語学が堪能である、といった分かりやすいスキルを棚卸しし、それに見合うものが見つからないと「自分には無理だ」と諦めてしまいます。

しかし、『らしく起業』が提案するのは、全く逆のアプローチです。それは、「あなたが過去に、どんなことで深く悩み、どうやってそれを乗り越えてきたか」という経験にこそ、最大の価値があるという考え方です。

例えば、あなたがもし「極度の人見知りで、会社の飲み会が苦痛で仕方なかった」という経験を持つとします。これは一見、ビジネスとは無関係な、むしろネガティブな経験に思えるかもしれません。しかし、その悩みを克服するために、会話術の本を読み漁ったり、小さなコミュニティに参加して練習したり、自分なりの対処法を編み出したりしたのではないでしょうか。

その試行錯誤のプロセス全体が、今まさに同じ悩みを抱えている人にとっては、喉から手が出るほど欲しい「価値ある情報」なのです。本書は、こうした自分では短所やコンプレックスだと思っている経験こそが、誰かの課題を解決するユニークな「商品」になり得ることを、数多くの事例と共に示してくれます。

「経験の棚卸し」で見つける、あなただけの価値の原石

では、具体的にどうやって自分の経験の中から「価値の原石」を見つけ出せばよいのでしょうか。その鍵を握るのが「経験の棚卸し」です。

これは、自分の過去を丁寧に振り返り、どんな出来事があり、何を感じ、何を学んだのかを客観的に洗い出す作業です。本書では、この棚卸しを効果的に進めるための具体的な質問リストが用意されていますが、ここではそのエッセンスをご紹介しましょう。

例えば、次のような質問を自分に投げかけてみてください。

「これまでの人生で、一番お金と時間を費やしたことは何ですか?」
「友人や同僚から、よく相談されることは何ですか?」
「『そんなことまで知ってるの?』と驚かれた経験はありますか?」
「過去の自分にアドバイスできるとしたら、何を伝えますか?」

これらの質問に答えていくと、自分では意識していなかった「得意なこと」や「人より詳しいこと」が浮かび上がってきます。重要なのは、それが「プロレベル」である必要は全くない、ということです。

あなたが半年前に悩んでいたことを、今まさに悩み始めた人にとっては、あなたは「半歩先の先輩」として、非常に価値のある存在なのです。この「半歩先の理論」こそが、「何もない」と感じている人が、自信を持って第一歩を踏み出すための強力な武器となります。

「好き」と「得意」と「需要」が重なる、黄金の交差点

自分の経験の中に価値がありそうだと分かっても、それが本当にビジネスとして成り立つのか、不安に思うかもしれません。そこで重要になるのが、本書が提唱する「Will-Can-Must」のフレームワークです。

これは、①自分が「やりたいこと・好きなこと(Will)」、②自分が「できること・得意なこと(Can)」、そして③社会や顧客から「求められていること(Must)」という3つの円が重なる領域こそが、あなたにとって最も成功確率の高い「マイビジネス」の領域である、という考え方です。

「好き」なだけでは、それは趣味の延長で終わってしまい、収益化が難しいかもしれません。「得意」なだけでも、情熱が続かず、いずれ苦しくなるでしょう。そして、いくら「需要」があっても、自分自身が心からやりたいと思えることでなければ、長続きはしません。この3つのバランスが取れた「黄金の交差点」を見つけ出すことこそが、「らしく起業」の要諦なのです。

本書には、この交差点を見つけるための具体的なリサーチ方法や思考法が詳しく解説されています。例えば、SNSで関連キーワードを検索して、人々がどんなことで悩んでいるのかを調査したり、自分の経験を必要としていそうな人に直接ヒアリングしてみたり。こうした地道な作業を通じて、あなたの「経験」が、誰かの「悩み」を解決する「ビジネス」へと昇華していくのです。

あなたの「当たり前」が、未来の顧客を救う

ここまで読んで、「自分にも何か見つけられるかもしれない」と少しでも感じていただけたでしょうか。最後に、具体的なイメージを膨らませてみましょう。

例えば、あなたが「何度も転職を繰り返して、自分に合う仕事を見つけるのに苦労した」という経験があるとします。その経験は、今まさにキャリアに悩み、転職活動がうまくいかない若者にとって、最高のキャリア相談サービスになり得ます。あるいは、「共働きで時間がない中、試行錯誤して編み出した時短料理のレシピ」は、同じ境遇のワーキングマザーを救う料理教室やレシピサイトになるかもしれません。「地方に移住して、地域に馴染むまで大変だった」という経験は、未来の移住希望者向けのコンサルティングサービスとして成立するでしょう。

これらはすべて、特別な資格がなくても、あなた自身のリアルな「経験」と「悩み」から生まれるビジネスです。あなたが当たり前のように乗り越えてきた壁は、他の誰かにとっては越えられない高い壁かもしれません。その壁を越えるための「梯子」をかけてあげること。それが、あなたらしいビジネスの第一歩なのです。『らしく起業』は、その梯子の作り方からかけ方までを、手取り足取り教えてくれる、まさに羅針盤のような一冊と言えるでしょう。

次回予告

今回は、書籍『らしく起業』の核心である「マイビジネスの種の見つけ方」について深掘りしました。「自分には何もない」という思い込みを捨て、自分自身の経験を棚卸しすることで、誰もが価値の原石を持っていることに気づいていただけたのではないでしょうか。

さて、ビジネスの種を見つけたら、次はいよいよそれを形にしていくステップです。次回の連載第3回(最終回)では、見つけた「種」を、どのようにして顧客が「お金を払ってでも欲しい」と思うような魅力的な「商品・サービス」に育て上げ、そしてそれを必要としている人に届けていくのか、という極めて実践的な活用法について解説します。どうぞご期待ください。

あなたの中に眠る可能性を、本書と共に開花させてみませんか?

らしく起業~キャリア迷子の会社員だった私が見つけた、ゼロからマイビジネスを作る自分らしい働き方~


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著者 相坂 サオリ
カテゴリ ビジネス書,起業
出版社 アルソス
出版日 2025年4月23日
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この本を書いた人
相坂 サオリ
パーパス 自分らしく生き、自己実現を叶える社会
職業 ビジネスプロデューサー・作家
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