スマートフォンを開けば情報が溢れ、人生のあらゆる選択が「コストパフォーマンス（コスパ）」や「タイムパフォーマンス（タイパ）」で測られる現代。効率を追求するあまり、知らず知らずのうちに心が疲弊し、「何のための努力なのか」と虚しさを感じている人は少なくありません。

そんな、効率優先で疲れた頭と心に、安らぎと喜びを運ぶ一冊がフォレスト出版から新登場します。それが、曹洞宗徳雄山建功寺住職で庭園デザイナーの枡野俊明氏による新刊『運が貯金される 徳積みの仕組み』（2025年12月8日以降順次発売）です。

枡野俊明氏は、国内外で数多くの「禅の庭」を手がけ、2006年には『ニューズウィーク（日本版）』で「世界が尊敬する日本人100人」に選出された、世界的な評価を持つ人物です。本書では、損得に縛られた現代の生き方から脱却し、心の余裕と他者に応援される生活へと変える「一生モノの運の貯金習慣術」が、禅の教えに基づき紹介されています。

私たちは日々の生活の中で、「推し活で貴重なチケットを手に入れたい」「仕事で良い結果を出したい」といった、ささやかな欲望を抱えています。その目標を達成するために「徳を積もう」と考え、善いことをした経験はないでしょうか。

本書は、そうした動機から始める行為、いわゆる「偽善」についても言及しています。著者曰く、「やらぬ善より、やる偽善」には少々刺激的ですが真実が含まれている、と。どんなに良いことを思いついても行動しなければ意味がなく、多少動機が不純であっても、まずは行動してみることの重要性を説きます。損得勘定から席を譲ったり、ゴミを拾ったりする行為は、厳密には「偽善」かもしれません。しかし、何もしないよりは良く、その行為を積み重ねるうちに、いつしか動機が純粋なものへと変わっていく可能性があるからです。

では、枡野氏が説く「徳積み」とは一体何でしょうか。仏教における「善行（ぜんぎょう）」とは、戒律を守った正しい行い、すなわち人を助け、社会に貢献するさまざまな行為を指します。徳積みとは、この善行を重ねることで自分自身が成長し、周囲によい影響を与えることを意味します。

単なる「これをしたらラッキーが得られるかな」というような見返りを求める**功徳（ごりやく）**とは一線を画します。それは、禅の祖である道元禅師の「善行を通じて成長することが大事」という教えにも通じています。

本書が伝えるのは、損得勘定から解放された小さな習慣こそが、想定以上の豊かな人生をもたらすということです。日々の暮らしの中で、笑顔を向ける、親切な言葉をかける、誰かのために少しだけ手間をかけるといった「小さな善行」を楽しみながら続ける。そうすることで、まるで貯金をするように、意識せずとも徳が少しずつ溜まっていきます。

その結果、あなたは他者から自然と信頼され、応援される人物へと変貌します。心の余裕が生まれ、コスパやタイパに縛られない、真に豊かで充実した毎日を送れるようになるでしょう。

本書は、「善い種を蒔く」といった善行の具体的な入り口から、「損得を超えていく」という境地に至るまで、五つの章で構成されています。

第１章 善い種を蒔く

第２章 主人公として生きる

第３章 仕事を通して善行をする

第４章 社会に恩返しをする

第５章 損得を超えていく

著者の枡野俊明氏は、庭園デザイナーとしても世界的な名声を得ており、カナダ大使館庭園やセルリアンタワー東急ホテル庭園など、国内外で数多くの作品を生み出しています。禅の精神と現代人の悩みを繋ぐその語り口は、本書においても、世代を問わず多くの読者に深い共感と気づきを与えることでしょう。

日々を忙しく生きる中で、ふと立ち止まり、自分の心の有り様を見つめ直したい時、本書は最高の道しるべとなります。禅の教えに裏打ちされた「運の貯金習慣術」を今日から実践し、予想を遥かに超える人生の変容を体験してみてはいかがでしょうか。