2022年の一時閉店から約4年。本の街・神田神保町の象徴とも言える「三省堂書店神田神保町本店」が、2026年3月19日(木)にいよいよグランドオープンを迎えます。創業145年という記念すべき年に幕を開ける新生・本店は、単なる書店の枠を超え、「歩けば、世界がひろがる書店」をコンセプトに掲げた新たな文化発信拠点として生まれ変わります。
「神田」を冠した新名称への想い
新店舗の名称は「三省堂書店神田神保町本店」に決定しました。これまでの「神保町本店」に、あえて「神田」を冠した背景には、深い歴史的意義があります。1947年に神田区と麹町区が合併して千代田区が誕生した際、旧神田区の町名にはすべて「神田」が付けられました。今回の名称変更には、本の街・神保町の中核を担うだけでなく、スポーツ店や楽器店などが集積する広域の「神田エリア」全体と連携し、街の活性化に貢献したいという強い意志が込められています。
建築家・長谷川豪氏が手掛ける「知の渓谷」
新店舗の建築・内装デザインを担当したのは、世界的に注目される建築家の長谷川豪氏です。亀井崇雄社長の「次世代の新しい書店への挑戦」という宣言に共鳴し、「網羅性と遭遇可能性を両立する空間」を目指しました。 その象徴となるのが、1階から広がる「知の渓谷」です。訪れた人々が本棚の間を歩き回ることで、予期せぬ本との出会いや新しい世界への入り口を見つけられるような設計が施されています。さらに、2階・3階には深く知識を探求するための「探求の洞窟」や、人と本、人と人がつながる「つながりの岬」、そして知的好奇心を刺激する「好奇心の泉」など、フロアごとに異なるテーマ性を持った空間が展開されます。
THE ジャンプショップ」も出店!充実のフロア構成
新本店ビルは地上13階建て(地下なし)で、1階から4階までが店舗フロアとなります。 書籍・雑誌エリアは約600坪を誇り、圧倒的な在庫量で「本を探す楽しみ」を提供します。2階には文具雑貨を扱う「神保町いちのいち」、3階にはオリジナルカフェ「喫茶 ちそう」とイベントスペースを設置。購入した本を片手にコーヒーを楽しんだり、作家や読者同士が交流するイベントに参加したりと、豊かな時間を過ごすことができます。 さらに注目すべきは、4階テナントとして「THE ジャンプショップ 神保町」の本店開業と同時のオープンが決定している点です。マンガ文化の中心地としても、国内外から多くのファンを惹きつけることになるでしょう。
糸井重里氏との対談で語られた「書店の未来」
新本店の発表に合わせて行われた説明会では、株式会社ほぼ日代表の糸井重里氏をゲストに招いた特別対談も実施されました。 糸井氏は、「第一部の説明を聞いて、書店をメディアとして立ち上げなおす決意を感じた」と期待を寄せるとともに、「本を単なる『モノ』として捉えると行き詰まってしまうが、そこから生まれる『コト(体験)』やコミュニケーションには無限の可能性がある」と指摘しました。 これに対し亀井社長も、「読まない人に向けても、本を読むという行為や楽しさを伝えていくことが新店舗の使命」と応じ、偶然の出会いや「目的外の楽しさ」がある場所としての書店の重要性を再確認しました。糸井氏からは「もし三省堂書店に『公園部』ができたら交流したい」といったユニークな提案も飛び出し、地域や企業を超えたコラボレーションの可能性も示唆されました。
リアルとデジタルを融合した新しい試み
ハード面だけでなく、ソフト面での新しい取り組みも充実しています。 「未来の読書好き」を育てるための企画棚「ようこそ世界の入口へ」や、リアル店舗とオウンドメディアを連動させたプロモーション棚「つながる本棚」、オンラインとリアルを同時開催するイベント「三省堂書店めくる塾」など、現代のライフスタイルに合わせた多様な本の楽しみ方を提案します。 また、PubteX社のシステム「BOOKTRAIL」を導入し、出版物の流通を可視化するなど、書店運営のDX(デジタルトランスフォーメーション)にも積極的に取り組んでいきます。
2025年には「世界で最もクールな街」ランキングで1位に選出されるなど、世界的な注目度が高まっている神田神保町。その中心に位置する三省堂書店神田神保町本店は、2026年3月の開業に向け、着々と準備を進めています。本を愛するすべての人にとって、そしてこれから本と出会う人々にとって、人生の転機となるような「世界がひろがる」体験が待っていることでしょう。
もっと本と本屋を愉しむための次世代型書店、三省堂書店神保町本店の店舗内施設神田神保町本店情報の情報を掲載しています。