地方書店員が選んだNo.1文庫が決定!「BUN-1グランプリ2025」松下龍之介『一次元の挿し木』に栄冠

地方書店11社が協業する大田丸が主催する「BUN-1グランプリ2025」のグランプリが決定しました。現場の書店員が「もう一度売りたい」文庫を選び、最も売れた作品に贈られる栄冠は、松下龍之介氏の『一次元の挿し木』が獲得。全国約120店舗の書店員が現場の「売る力」を結集し、地方発のベストセラーを生み出す、書店員の熱意が詰まった取り組みを紹介します。


地方発の書店協業会社、株式会社大田丸(京都市北区、代表取締役:大垣 守弘)が主催する「BUN-1(ブンワン)グランプリ2025」のグランプリ作品が、2025年10月31日に決定しました。全国11の地方書店が連携し、「現場の書店員が今、最も売りたい文庫」を選び、その後の販売実績で真のNo.1を決定する本アワード。第二回目となる2025年の栄冠は、松下龍之介氏による『一次元の挿し木』(宝島社文庫)に輝きました。表彰式は東京都千代田区神田駿河台の紫紺館にて執り行われました。

【「BUN-1グランプリ」とは?】

「BUN-1グランプリ」は、日々夥しい数の本と接する書店員が、「残念ながら短期間で返品されていく」現状の中にある、埋もれた名作や、今だからこそ読むべき作品を改めて読者に届けるための取り組みです。大田丸加盟の11法人が運営する全国約120店舗の全書店員が「もう一度売りたい、おすすめしたい文庫」を投票で選び、ノミネート10作品を決定します。

ノミネート作品は、2025年8月1日から9月30日までの2ヶ月間、全国の大田丸店頭で特設コーナーにて販売され、この期間に最も売り伸ばした作品がグランプリに選ばれるという、非常に実戦的な賞です。書店員は、単に選ぶだけでなく、ポップや応援動画などで、いかに作品の魅力を読者に伝え、販売につなげるかという現場の「売る力」が問われるガチンコ対決となっています。

賞の対象となるのは、文庫本の国内小説で、商業出版社による紙の本でのデビューから15年以内の現役作家の作品に限定されています。これは、未来の読者のために、若手・中堅作家とともにこの賞を盛り立てていきたいという大田丸の強い意志の表れです。文庫本という形態は誰もが手に取りやすく、販売データも豊富なため、書店員が「売るための腕」を発揮しやすいという点も、文庫本を対象とした理由となっています。

【グランプリ受賞作『一次元の挿し木』と著者プロフィール】

2025年のBUN-1グランプリを制した松下龍之介氏の『一次元の挿し木』は、ノミネート10作品の販売総数10,998冊のうち、2,937冊という圧倒的な売上を記録し、書店員の推薦が読者に響いたことを証明しました。

著者である松下龍之介氏は1991年、東京都江戸川区生まれ、茨城県牛久市在住。千葉工業大学大学院工学研究科修士課程を修了後、現在は機械システム事業を扱う会社で火力発電所や製鉄所向けの高圧ポンプの設計・技術提案に携わるという、ユニークな経歴の持ち主です。本作は、第23回『このミステリーがすごい!』大賞・文庫グランプリを受賞したデビュー作であり、その作品性の高さは保証付きです。書店員たちの熱意あるプッシュにより、改めて多くの読者の手に渡り、ベストセラーの仲間入りを果たしました。

一次元の挿し木

¥ 900

ヒマラヤ山中で発掘された二百年前の人骨。大学院で遺伝学を学ぶ悠がDNA鑑定にかけると、四年前に失踪した妹のものと一致した。不可解な鑑定結果から担当教授の石見崎に相談しようとするも、石見崎は何者かに殺害される。古人骨を発掘した調査員も襲われ、研究室からは古人骨が盗まれた。悠は妹の生死と、古人骨のDNAの真相を突き止めるべく動き出し、予測もつかない大きな企みに巻き込まれていくーー。

【地方書店が「知の拠点」であり続けるための挑戦】

BUN-1グランプリを主催する株式会社大田丸は、全国の地域に深く根ざした書店同士が、連携・協力することで、地方書店が「知の拠点」としてその地域での役割を果たし続けることを目的に、2011年に設立されました。毎日の業務の中で培われた書店員たちの「この本は面白い、もっと広めたい」という情熱を結集し、地方発でベストセラーを創出することは、まさに大田丸の理念を体現した活動と言えます。

大田丸は、「書店」がこれからも人々の生活にとって身近で必要な存在として、人間の成長に寄り添っていける文化の拠点としてあり続けられるよう、今後も活動を継続していく方針です。今回の「BUN-1グランプリ2025」の結果は、単なる文庫本のランキング発表に留まらず、地方書店が持つ「発掘力」と「販売力」を全国に示した、意義深い挑戦の成功事例と言えるでしょう。

(大田丸加盟書店:今井書店、WAY書店、大垣書店、啓林堂書店、廣文館、東山堂、久美堂、ブックスタマ、苑堂書店、豊川堂、朗月堂 ※五十音順)

株式会社大田丸 ー 地方書店の存続と 地域の読者のために

https://ohtamaru.co.jp/

本格的な国際社会の到来を迎え、日本が真の意味で自立した活力あふれる国家たりうるには、知的な力と心豊かな人間性の醸 成が欠かせない。そのためには、子どもの成長の傍らに、あるいは住民の日々の生活のすぐそばに、地域に根ざした「知の拠点」が 必要である。 当社は、全国各地の地域に深く根を下ろした書店同士が連携、協力する結節点となり、各地の書店がそれぞれの地域において、 「知の拠点」としての役割を十分果たせるように支援することを目的とする。


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