なぜ同じ商品でも売れるサイトと売れないサイトがあるのか
ECサイトを運営していると、必ず直面する疑問があります。「なぜ同じような商品を扱っているのに、売れるサイトと売れないサイトがあるのか」ということです。商品の品質や価格に大きな差がないにもかかわらず、売上に10倍、100倍の差がつくことも珍しくありません。
この差を生む最大の要因の一つが、販売ページの作り方です。本書では、販売ページを「お客様に商品の価値を伝え、購入へと導く最も重要な場所」と位置づけています。実店舗でいえば、優秀な販売員の役割を果たすのが販売ページなのです。
しかし、多くのECサイトでは、商品の仕様や機能を羅列するだけの無機質なページになってしまっています。これでは、お客様の心を動かすことはできません。商品の魅力を最大限に引き出し、お客様が「これが欲しい!」と思わずクリックしてしまうような販売ページを作ることが、EC成功の鍵となります。
実際に、販売ページを改善しただけで成約率が大幅に上昇し、売上が3倍になった事例など、劇的な成果を上げているECサイトは数多く存在します。つまり、販売ページの改善は、最も費用対効果の高い施策の一つなのです。
では、具体的にどのような要素が「売れる販売ページ」を作るのでしょうか。次の段落から、その秘訣を詳しく見ていきましょう。
購買心理を理解した「AIDMAの法則」の活用法
本書では、売れる販売ページを作るための基本として「AIDMAの法則」を紹介しています。AIDMAとは、Attention(注意)、Interest(興味)、Desire(欲求)、Memory(記憶)、Action(行動)の頭文字を取ったもので、消費者が商品を購入するまでの心理プロセスを表しています。
まず、Attention(注意)の段階では、お客様の目を引くキャッチコピーや商品画像が重要です。ECサイトでは、訪問者の約70%が3秒以内にそのページを見続けるか離脱するかを判断すると言われています。つまり、最初の3秒で心を掴めなければ、どんなに良い商品でも売れないのです。
次に、Interest(興味)とDesire(欲求)の段階では、商品の特徴ではなく、その商品を使うことで得られるベネフィット(利益)を伝えることが重要です。例えば、ダイエット食品であれば「カロリーが低い」という特徴ではなく、「理想の体型を手に入れて、自信を持って水着が着られる」というベネフィットを訴求するのです。
Memory(記憶)の段階では、お客様の記憶に残る印象的なストーリーや、他社との差別化ポイントを明確に伝えます。そして最後のAction(行動)では、「今すぐ購入」ボタンを目立たせたり、期間限定の特典を用意したりして、購入への最後の一押しをします。
このAIDMAの法則に沿って販売ページを構成することで、お客様の心理に寄り添った、自然な流れで購入へと導くことができるのです。
商品写真とコピーライティングで差をつける実践テクニック
販売ページの中でも特に重要なのが、商品写真とコピーライティングです。本書では、これらを「ECサイトの生命線」と表現しています。
商品写真については、単に商品を撮影するだけでなく、使用シーンを想像させる写真が効果的です。例えば、アクセサリーであれば、商品単体の写真だけでなく、実際に身に着けている写真を掲載することで、お客様は自分が使っている姿をイメージしやすくなります。
また、複数の角度から撮影した写真や、細部のアップ写真、サイズ感が分かる比較写真なども重要です。実店舗では手に取って確認できることが、ECサイトでは写真でしか確認できないため、できるだけ多くの情報を視覚的に提供する必要があります。
コピーライティングについては、「お客様の言葉で語る」ことが鉄則です。専門用語や業界用語は避け、お客様が日常的に使う言葉で商品の魅力を伝えます。また、数字を使った具体的な表現も効果的です。「多くのお客様に支持されています」よりも「累計10万個突破!リピート率85%」の方が説得力があります。
さらに、お客様の声や使用体験談を掲載することも重要です。第三者の評価は、売り手の主張よりも信頼性が高く、購入の後押しになります。ただし、薬機法や景品表示法などの法規制には十分注意する必要があります。
これらのテクニックを組み合わせることで、商品の魅力を最大限に引き出し、お客様の購買意欲を高めることができるのです。
購入率を3倍にする「不安解消」の仕組みづくり
ECサイトでの購入において、お客様が最も躊躇する理由は「不安」です。実物を見ることができない、すぐに手に入らない、返品できるか分からない...こうした不安が、購入の大きな障壁となっています。
本書では、この不安を解消するための具体的な方法をいくつか紹介しています。まず重要なのが、「返品・交換保証」の明記です。「商品到着後30日間は返品・交換無料」といった保証があるだけで、購入のハードルは大きく下がります。
次に、「送料」に関する情報の明確化です。送料が分からないまま購入手続きを進めることは、お客様にとって大きなストレスです。「5,000円以上送料無料」「全国一律500円」など、分かりやすく表示することが重要です。
また、「お客様の声」や「よくある質問(FAQ)」を充実させることも効果的です。実際に購入した人の感想や、他のお客様が抱いた疑問とその回答を見ることで、自分の不安も解消されることが多いのです。
さらに、決済方法の多様化も重要なポイントです。クレジットカード決済だけでなく、代金引換、コンビニ後払い、電子マネーなど、お客様が安心して使える決済方法を用意することで、購入率は確実に向上します。
これらの不安解消策を実施したECサイトでは、購入率が2倍、3倍になることも珍しくありません。お客様の立場に立って、どんな不安があるかを想像し、それを一つずつ解消していくことが、売れるECサイトへの近道なのです。
明日から実践できる販売ページ改善のチェックリスト
ここまで見てきた販売ページの改善ポイントを、実際に自社のECサイトに適用するためのチェックリストをご紹介します。これは、本書の内容を基に、すぐに実践できる形にまとめたものです。
【商品写真のチェックポイント】
□ 商品の全体像が分かる写真はあるか
□ 使用シーンをイメージできる写真はあるか
□ サイズ感が分かる比較写真はあるか
□ 細部や質感が分かるアップ写真はあるか
□ 複数の角度から撮影した写真はあるか
【コピーライティングのチェックポイント】
□ 3秒で商品の魅力が伝わるキャッチコピーはあるか
□ 商品の特徴ではなくベネフィットを訴求しているか
□ 具体的な数字を使った表現をしているか
□ お客様の言葉で書かれているか
□ お客様の声や体験談を掲載しているか
【不安解消のチェックポイント】
□ 返品・交換の条件が明記されているか
□ 送料が分かりやすく表示されているか
□ 納期の目安が記載されているか
□ 複数の決済方法が用意されているか
□ FAQが充実しているか
これらのチェックポイントを一つずつ確認し、改善していくことで、確実に販売ページの質は向上します。すべてを一度に改善する必要はありません。優先順位をつけて、できることから始めていきましょう。
次回の最終回では、ECサイトで最も重要な「リピーター獲得」の方法について詳しく解説します。新規顧客の獲得コストは既存顧客の5倍かかると言われる中、いかにしてお客様をファン化し、継続的な売上を確保するか。その具体的な方法をお伝えします。