なぜ「書籍出版」が企業ブランディングの切り札になるのか?
「書籍を出版したら、その効果で数億~十億円の新規取引が数件獲得できた」「転職者や新卒が多く集まった」
これは実際に書籍を出版した企業経営者から聞かれる言葉です。年商1億円前後のスタートアップから年商1兆円超えの大手上場企業まで、規模を問わず多くの企業が「本で会社を強くする戦略」に注目しています。
なぜ今、多くの経営者やキーマンの間で「経営者は本を出した方がいい」「企業として書店で買える商業出版をすべき」という声が高まっているのでしょうか?その背景には、従来のマーケティング手法では到達できない深いレベルでの信頼構築と、持続的なブランド価値の向上があります。
書籍出版は単なる宣伝手段ではありません。企業の存在意義を明確にし、社会に対する価値提供を体系化する戦略的なコミュニケーション手段なのです。特に40代以上のビジネスマンにとって、これまでの経験と知識を社会に還元し、同時に企業価値を高める最適な方法として注目されています。
情報洪水の時代に求められる「質量メディア」としての書籍
現代は情報過多の時代です。企業が発するメッセージが生活者に届かない、あるいは届いても忘れられてしまう主な理由は、この情報洪水にあります。顧客は毎日無数のメッセージにさらされ、一つのメッセージに集中する時間がきわめて限られています。
そこで注目されているのが、書籍という「質量を伴う物体」の価値です。インターネット上の無限増殖情報とは異なり、書籍は有限なコンテンツ。だからこそ、読者は書籍に凝縮された知識や情報を「なんとか自分のものにしたい」と学習欲を抱くのです。
デジタルマーケティングが主流となった今だからこそ、アナログな書籍の持つ「重み」が際立ちます。SNSの投稿は数秒で流れ去りますが、書籍は書棚に残り続けます。この物理的な存在感が、企業メッセージの定着率を飛躍的に高めるのです。
また、書籍を読むという行為は、読者にとって能動的な学習体験です。受動的に情報を受け取るテレビCMやWeb広告とは異なり、読者は自らの意志で時間を投資し、企業の思想や価値観と向き合います。この深いエンゲージメントこそが、強固な信頼関係の基盤となるのです。
パーパス経営時代における書籍の役割
ビジネスシーンで「パーパス」(企業の社会的な存在意義)という言葉が定着しています。これから生き残ることができるのは、社会の変化に敏感で、自社の理念や価値観を明確に伝え、共感を生み出すことのできる企業です。
書籍出版は、企業のパーパスを明確にし、生活者の共感を得るための積極的なコミュニケーション手段として機能します。書籍制作プロセスそのものが、企業でしか持ち得ない独自のコンセプトやアイデンティティ、ブランドのバリューを再確認し、企業パーパスの一部として確立する絶好の機会になるのです。
特に重要なのは、書籍が提供する「物語性」です。企業の歴史、創業者の想い、社会課題への取り組み、未来への展望など、数値では表現できない企業の本質的な価値を、読者の心に響く物語として伝えることができます。
ESG投資が注目される現代において、企業の社会的責任や持続可能性への取り組みを書籍で発信することは、投資家や取引先からの信頼獲得にも直結します。単なる利益追求ではなく、社会に貢献する企業としての姿勢を明確に示すことで、長期的なパートナーシップの構築が可能になるのです。
成長企業社長の8割は著者になれる理由
多くの方が「書籍なんか書けない」「インタビューされてもネタがない」と思い込んでいますが、これは大きな誤解です。経営者やキーマンの頭脳には、一般生活者や世の中の企業のために役立つ「独自ノウハウ・経験」が蓄積されています。
たとえば、ハウスメーカーの方であれば「賢いマイホームの建て方・買い方」を読者に伝えられます。不動産仲介会社の方ならば「儲かるビル投資術」について詳しく説明することができます。これらが1冊、1冊の価値ある書籍になるのです。
重要なのは、業界の常識を一般の人にもわかりやすく伝える「翻訳能力」です。40代以上のビジネスマンは、若手では持ち得ない豊富な経験と失敗体験を持っています。この「失敗から学んだ教訓」こそが、読者にとって最も価値のあるコンテンツとなります。
また、書籍執筆は自分自身の知識体系を整理する絶好の機会でもあります。これまで感覚的に行っていた判断や決断の根拠を言語化することで、経営者自身のスキルアップにもつながります。書籍を書くプロセスで、自社の強みや独自性を再発見する経営者も少なくありません。
インナーブランディングとしての書籍活用
書籍は社外向けのブランディングだけでなく、社内の従業員へ向けた「インナーブランディング」にも効果的です。書籍を通して従業員は企業のミッション、ビジョン、バリューなど、自分たちが進むべき方向を示してくれる羅針盤を得ることができます。
従業員が自分もブランドの一部だと感じ、企業の目標や価値観に共感して"自分ごと化"することで、仕事へのコミットメント力が高まり、離職率の低下にもつながります。特に、リモートワークが普及した現代において、物理的に離れた場所で働く従業員同士が共通の価値観を持つためのツールとして、書籍の役割は重要性を増しています。
さらに、採用活動においても書籍は強力な武器となります。求職者は企業のWebサイトや求人情報だけでは得られない、経営者の人柄や企業文化の深い部分を書籍から読み取ります。優秀な人材ほど、単なる給与や待遇だけでなく、企業の理念や将来性を重視する傾向があります。
書籍を通じて企業の本質的な魅力を伝えることで、価値観の合う優秀な人材を引き寄せることができるのです。これは、採用コストの削減と定着率の向上という、二重のメリットをもたらします。
次回予告
第2回では、書籍出版を通じて実際に数億円の新規取引を獲得した企業の具体的事例と、「教育収益+商品・サービス販売収益」のWインカム構造について詳しく解説します。あなたの会社でも実現可能な出版起点ブランディングの実践方法をお伝えします。