デジタル全盛の時代にあって、今あえて「手書き」で自分だけの物語を紡ぐスタイルが脚光を浴びています。その中心にあるのが、新潮文庫から毎年発売されている『マイブック』です。
株式会社新潮社は、2025年9月に発売した『マイブック―2026年の記録―』がこのたび6刷重版を決定し、単年で累計18万部を突破したことを発表しました。累計発行部数は300万部を超える超ロングセラーですが、単年での発行部数が15万部を超えるのは実に24年ぶりの快挙。発売から4半世紀を経てなお、その輝きを増している「白い文庫本」の人気の秘密に迫ります。
日付と曜日しかない「自由すぎる本」
『マイブック』の最大の特徴は、ページを開くと日付と曜日しか印字されていない点にあります。それ以外は、真っ白な文庫本。日記として使うもよし、スケジュール帳やアイデアノート、あるいはスケッチブックとして使うもよし。使い手にすべてを委ねるその潔さが、現代人のクリエイティビティを刺激しています。
1999年の初刊行以来、アートディレクターの大貫卓也氏が企画・デザインを手掛けており、通常の文庫本よりも180度しっかり開くような製本など、書きやすさへの配慮もなされています。自分の言葉で埋め尽くされたこの本は、一年の終わりには「世界に一冊だけの自分の本」として、文豪たちの著書と同じように本棚に収まることになるのです。
Z世代に広がる「日記界隈」とライフログの流行
今回の異例のヒットを牽引しているのは、意外にもデジタルネイティブであるZ世代を中心とした若者たちです。
現在、SNS上では「日記界隈」と呼ばれるコミュニティが活況を呈しています。従来の日記は、他人に見せず自分の中だけで留めておくものでしたが、現代の若者たちは異なります。あえて日々の記録や、デコレーションした日記のページを写真に収め、SNSで共有して交流を楽しむ「ライフログ」というスタイルが定着しています。
このトレンドに伴い、『マイブック』を「SNS映えするアイテム」として、また「日常をアウトプットするキャンバス」として活用するユーザーが急増。20代女性の販売数は、一昨年比で430%と驚異的な伸びを見せており、購買層の約3割を20代以下が占めるという、新しい読者層の開拓に成功しています。
アジア圏でも大人気!台湾・中国でランキング1位に
『マイブック』の人気は日本国内に留まりません。2026年版はすでに海外で8,000部以上を売り上げており、特に東アジア地域での支持が突出しています。
台湾では、主要書店の日本語書籍総合売上ランキングで第1位を獲得。現地ではコンパクトなサイズ感と手頃な価格(199台湾ドル)が支持されており、20代から40代の女性を中心に、コーディネートの記録やアイデアメモといった用途で愛用されています。
また、中国でもSNS「小紅書(シャオホンシュー)」でのライブコマースがきっかけとなり、人気が急上昇。海を越えて「自分だけの一冊を作る」という文化が広がっています。
「著者」になる喜びを体験する
新潮社は『マイブック』の使い方として、以下のようなステップを提案しています。
1.あなたの名前、写真、プロフィールを書く。
2.中面を自由に、オリジナルに使い込む。
3.あとがきを執筆する。
4.奥付に署名する。
完成したとき、あなたは一冊の本を書き終えた「著者」になります。忙しい毎日の中で、少しだけ立ち止まって自分と向き合う時間。そして、それを記録として残す楽しみ。年末年始のギフトとしても人気を博しており、全国の主要書店で文庫部門の売上1位を次々と獲得しています。
おわりに
「平成生まれ」のこの日記本が、令和の若者たちによって再定義され、新しい文化として花開いています。100円ショップやデジタル手帳では味わえない、文庫本ならではの重みと手触り。
2026年、あなたも『マイブック』を手に取って、世界にたった一冊しかない自分自身の物語を書き始めてみませんか?一年の終わりには、どのベストセラーよりも愛おしい一冊が、あなたの手元に残っているはずです。
【書籍データ】
タイトル: マイブック―2026年の記録―
企画・デザイン: 大貫卓也
定価: 539円(税込)
判型: 新潮文庫
特設サイト: https://www.shinchosha.co.jp/special/mybook/
『マイブック―2026年の記録―』特設サイト|新潮文庫 | 新潮社
https://www.shinchosha.co.jp/special/mybook/自分の本。1日1ページ、365日分の日付だけを入れました。手帳として使うか、日記をつけてみるか。使い方は無限大。1年後には、あなたの2026年がぎっしり詰まったマイブックが完成します。