いまや「IP(知的財産)大国」として世界に冠たる存在となった日本。アニメ、マンガ、ゲームといった日本のエンターテインメントは、どのようにして現在の地位を築き上げたのでしょうか。その100年にわたる壮大な歩みを、産業の最前線で指揮を執ってきた人物が自ら書き下ろした一冊が登場します。
株式会社KADOKAWA Game Linkageは、元KADOKAWA社長・佐藤辰男氏の著書『エンタメ(IP)100年史 創業者のエウレカ、継承者の転換』を、2026年2月26日(木)に刊行することを発表しました。
伝説の経営者たちが起こした「エウレカ(発見)」の物語
本書の核心は、日本のエンタメ産業の礎を築いた創業者たちの「エウレカ(閃き・発見)」の瞬間にあります。
例えば、トミーの創業者・富山栄市郎氏は、戦前の東京で飛行機玩具をヒットさせ、「飛行機の富山」として名を馳せました。バンダイの創業者・山科直治氏は、それまでの玩具業界になかった「品質保証」の概念を導入し、業界の信頼性を底上げしました。また、任天堂の山内溥氏がファミリーコンピュータによって巻き起こした社会現象や、サンリオの辻信太郎氏による「コミュニケーションのビジネス化」など、名だたる経営者たちの足跡が「列伝パート」としてドラマチックに描かれています。
著者の佐藤氏は、自らも角川書店やメディアワークスの経営に携わり、メディアミックスの最前線を走り抜けてきた人物です。自身の体験を交えた考察は、単なる歴史書に留まらない、現場の熱量を感じさせる内容となっています。
なぜ「静岡」がプラモデルの聖地になったのか?
本書のユニークな点は、人物や時代だけでなく、「地(場所)」という切り口から産業を分析している点です。
「なぜ浅草が戦後の玩具産業のホットスポットになったのか?」「なぜ静岡がプラモデルの聖地と呼ばれるようになったのか?」といった問いに対し、本書は歴史的な背景から明快な答えを提示します。さらには、日本のデジタルゲームの源流を遡ると、なぜ米国のシリコンバレーに辿り着くのかといったグローバルな視点での考察も展開されます。
個人の才能や時代の潮流だけでなく、それらを受け止め、育ててきた「土地」の力が、日本のエンタメ文化にどのような彩りを添えてきたのか。地理的なアプローチによって、読者は日本のエンタメ史をより立体的に理解することができるでしょう。
「継承者」たちの苦悩と、IPビジネスの誕生
物語は創業者の成功譚だけで終わりません。後半では、創業者からバトンを渡された「継承者」たちが、時代の激変にどう立ち向かったのかという苦悩と転換が描かれます。
2000年代に相次いだ玩具・ゲームメーカーの合併や経営統合といったダイナミックな動き、そして出版不況の中でメディアワークスが設立された背景など、著者が当事者として目撃してきた「業界再編の裏側」は、ビジネスパーソンにとっても極めて示唆に富む内容です。
単なる玩具や書籍の集合体から、ひとつの「IP(知的財産)」として価値を最大化させていく「メディアミックス」の進化過程。本書は、その100年間の試行錯誤の集大成と言えます。
まとめ
本書は、Webサイト「電撃オンライン」で連載された「おもちゃとゲームの100年史」を大幅に加筆・修正したものです。240ページに凝縮されたその内容は、エンタメ業界を志す人はもちろん、日本が誇るソフトパワーの正体を知りたいすべての人にとって、必読の「歴史的資料」となるでしょう。
創業者の閃き、継承者の覚悟、そして時代の要請。それらが複雑に絡み合って生まれた日本のエンタメ文化の真実が、ここに明かされます。
【書籍情報】
書名: エンタメ(IP)100年史 創業者のエウレカ、継承者の転換
著者: 佐藤辰男
発売日: 2026年2月26日(木)
定価: 2,200円(本体2,000円+税)
発行: KADOKAWA Game Linkage
仕様: 四六判、240ページ