「もう無理かも」。誰かを支える介護という仕事だからこそ、心がすり減り、そう感じたことがある介護職の方は決して少なくありません。慢性的な人手不足、夜勤の疲労、そして「やさしさゆえ」に抱えてしまう共感疲労や自己否定――。
こうした介護職の「限界サイン」に静かに寄り添い、単なる「我慢」ではなく、前向きに自分のキャリアと向き合うための実践的なヒントを提供する新刊書が登場しました。髙野広樹氏による『介護職、もう無理かもと思ったら読む本 辞めたい理由や葛藤を乗り越える11のヒント』が、インプレス NextPublishingより発行されます。
「辞める」or「続ける」ではない、第三の選択肢
本書の最大の特徴は、多くの介護職が直面する**「辞めるか、続けるか」**という苦しい二択から、読み手を解放することにあります。
著者の髙野氏は、キャリアアドバイザーとして約4,500名もの介護職・介護職希望者を支援し、多くの離職や転職の相談に向き合ってきました。その経験から見えてきたのは、多くの人が「つらいから辞める」という結論を出す前に、自分の感情や状況を客観的に整理し、「どう働き続けたいのか」という根本的な問いに向き合うプロセスを省略してしまっている、という現実でした。
本書は、そのプロセスを丁寧に辿り、つらい現場を**「我慢」で乗り越えるのではなく、「自分を守りながら働く力」**を育てるための具体的な思考法と実践ステップを提供します。
介護職が「辞めたくなる11の理由」とその乗り越え方
本書の中核をなすのは、髙野氏が数多くの相談から導き出した**「辞めたくなる11の理由」**への向き合い方です。
1.ギスギスした人間関係
2.人手不足による長時間労働
3.夜勤疲れ・体力の限界
4.キャリアが停滞している感覚
5.クレーム対応の精神的疲労
6.共感疲労と燃え尽き
7.低賃金による将来不安
8.ワークライフバランスが取れない
9.ミスへの恐怖と自己否定
10.方針変更や異動などの急な変化
11.機能していないOJT・教育制度
これらの理由一つひとつに対し、感情的なサポートとともに、具体的な解決策を提示しています。たとえば、人間関係の悩みに対しては、自分の気持ちを整理する「自己理解ワーク」を通じて、問題の真の原因が「職場」にあるのか「自分」にあるのかを客観的に見極める方法を紹介。今の職場で改善できること、信頼できる相手の見つけ方など、現状を変えるための具体的な行動指針を示しています。
「本当に辞める前」にやるべきことと新しい働き方
また、本書は「辞める」という決断を下す前に、読者が後悔しないための明確な判断軸を提供します。
転職を単なる「逃げ」で終わらせないために、**「見落としがちな職場選びの視点」や「面接で確認すべき5つのポイント」**など、転職活動を成功に導くための実践的なノウハウが収録されています。
さらに、組織内で働くこと以外の選択肢にも触れ、近年広がりを見せる**「介護職に広がるスポットワークという新しい選択肢」**についても解説。多様化する働き方の中で、自分のライフスタイルや価値観に合った働き方を見つけるヒントを与えてくれます。
この一冊は、介護という尊い仕事と、それを選んだ自分自身をもう一度深く見つめ直すための、力強い処方箋となるでしょう。約4,500名の支援実績に裏打ちされた知見と、著者自身の現場経験が凝縮された本書は、現在介護の仕事で葛藤を抱える全ての人、そして採用・定着に悩む介護施設の関係者にとっても必読の内容です。
【書誌情報】
書名: 『介護職、もう無理かもと思ったら読む本 辞めたい理由や葛藤を乗り越える11のヒント』
著者: 髙野 広樹
発行: インプレス NextPublishing
価格:
電子書籍版 1,600円(税別)
印刷書籍版 2,300円(税別)