私たちの日常を形作るAmazon、Google、Apple、そしてChatGPTを生み出したOpenAI。これらの巨大なサービスや製品は、一握りの「企業家」たちの活動と決断の結果として生まれました。しかし、彼らの成功の裏側には、華々しいサクセスストーリーだけでなく、失敗や闇も存在します。
株式会社秀和システム新社は2025年11月26日、東京都立大学准教授である高橋勅徳氏の著作『世界を変えた 企業家図鑑』(定価1,760円・税込)を発刊しました。本書は、従来の実務マニュアルや単なる成功者の自伝とは一線を画し、成功と失敗の両面をリアルに描く新しいスタイルのビジネス書として注目を集めています。2ちゃんねる開設者のひろゆき氏も絶賛する本書の魅力と、その核心に迫ります。
32人の企業家を横断的に読み解く「図鑑」形式
本書の最大の特徴は、32人もの企業家を「図鑑」というユニークな形式で紹介している点です。スティーブ・ジョブズ(Apple)、ジェフ・ベゾス(Amazon)、イーロン・マスク(Tesla)、孫正義(Softbank)といったお馴染みの「成功者」はもちろんのこと、近年大きな話題となった「企業家の影」にも深く切り込んでいます。
例えば、血液検査ベンチャーを巡る詐欺事件で転落したエリザベス・ホームズ(セラノス)や、巨額詐欺事件を起こした暗号資産取引所FTXのサム・バンクマン=フリードなど、その功罪両面から現代社会に影響を与えた人物が網羅されています。成功者の光だけではなく、転落した人々の闇まで描くことで、ビジネスにおける「栄光と転落の境界線」がリアルに見えてきます。
本書は、特定の人物を深掘りするのではなく、多くの企業家を横断的に比較できるよう構成されているため、読者は「自分にとって参考になる一人の企業家」や、複数の企業家の戦略を組み合わせて学ぶことができるよう設計されています。
知的好奇心を刺激するビジュアル要素
本書はビジネス書でありながら、パラパラとページをめくるだけで楽しめるビジュアル要素が満載です。各ページには、企業家の個性が表現された親しみやすいイラストが挿入されており、まるで博物館の展示を見るような感覚で読み進めることができます。
さらに、企業家の能力や特性が一目でわかる**「STATUS」レーダーチャート**や、彼らが生み出したビジネスモデルの構造を図解したイラストが豊富に盛り込まれています。
STATUSチャート: 「起業家精神」「イノベーション力」「コミュニケーション力」など、企業家が持つ資質を可視化。
ビジネスモデル図解: 複雑な事業戦略をシンプルな図で解説し、その仕組みと成功の理由を直感的に理解可能。
これらの工夫により、普段ビジネス書を読み慣れていない学生や若手ビジネスパーソンにとっても、知的好奇心を刺激されながら学習できる、新しいビジネス教養書となっています。
専門家が暴く、成功の「不都合な真実」
従来の企業家本が「努力と情熱」といった精神論を成功の主因とする傾向があるのに対し、企業家研究の専門家である著者は、32人の軌跡を俯瞰した結果、より現実的で「不都合な真実」を喝破します。
著者が指摘するのは、成功とは「運とタイミング」に大きく左右されるという現実です。特にIT企業家が特定の世代(1960年代半ば〜70年代前半生まれ)に集中している事実を挙げ、成功は「起業しやすい時代と場所(産業)」、すなわち「生まれ落ちた環境」という、努力ではどうにもならない運によって大きく左右されると論じます。
しかし、これは「運命」を嘆くための悲観論ではありません。 「起業に追い風が吹く時と場所があると知ったこと」こそが、未来のトレンドやチャンスを読み解く上での最大の武器になると、著者は読者に前向きなエールを送ります。どの時代に、どのような産業で起業の波が起こるのかを知ることは、未来のチャンスを掴むための羅針盤となるのです。
学生やビジネスパーソンはもちろん、私たちが毎日利用するサービスが「なぜ」「どのように」生まれたのか、そのダイナミックな歴史的背景を知りたいすべての人に、本書は新たな視座と教養を与えてくれる一冊です。全国の書店、ネット書店で手に入ります。