【第2回】「もう、いやだ!」と思った時のこころの立て直し方: 傷つきやすい心が生み出す「共感力」と「創造性」

【第2回】「もう、いやだ!」と思った時のこころの立て直し方: 傷つきやすい心が生み出す「共感力」と「創造性」

「自分は敏感すぎる」「ちょっとしたひと言で傷ついてしまう」と感じることはありませんか? 第2回では、書籍「「もう、いやだ!」と思った時のこころの立て直し方」の主要テーマの一つである「傷つきやすい」という特性に焦点を当てます。一般的にネガティブに捉えられがちなこの「繊細さ」が、実はあなたの人生を豊かにする強みとなり得ることを解説し、実生活でどのようにその特性と向き合い、活かしていくかを深掘りしていきます。


「傷つきやすい」は、本当に「弱さ」なのだろうか?

私たちは、社会の中で生きる上で、「もっと強くならなければ」「いちいち気にしないようにしよう」といった言葉に触れる機会が多くあります。特に若い世代においては、困難に直面してもへこたれない精神的な強さが求められる傾向にあります。そのため、「自分は傷つきやすい」「人の言葉を気にしすぎる」といった特性を持つ人は、しばしば自分を責めたり、周りから「打たれ弱い」と見られているのではないかと不安に感じたりすることもあるでしょう。しかし、本当に「傷つきやすい」という特性は、単なる「弱さ」なのでしょうか? 本書は、この問いに対し、明確な「ノー」を突きつけます。

私たちが「傷つきやすい」と感じる時、それは多くの場合、感受性が豊かであることの裏返しに他なりません。例えば、映画や音楽に深く感動したり、他者の小さな心の変化に気づいたりすることは、まさにその感受性の賜物です。繊細であることは、外界からの情報や他者の感情をより深く、細やかに受け取る能力を持っていることを意味します。この能力は、一見するとストレスの原因になりがちですが、実は人生をより豊かにする可能性を秘めた、かけがえのない個性なのです。

この「傷つきやすい」という特性をネガティブなものとして捉えるのではなく、むしろあなたが持つ素晴らしい才能として受け入れることから、心の立て直しが始まると教えてくれます。

「繊細さん=HSP」から学ぶ、感受性の豊かな世界

最近よく耳にするようになった「繊細さん」という言葉は、しばしば「HSP(Highly Sensitive Person)」という概念と結びつけられます。HSPとは、生まれつき「非常に感受性が強く、敏感な気質を持った人」を指し、「感度の高いアンテナが常に働いている人」と表現されることもあります。彼らは、他者の感情を自分のことのように感じ取ったり、音や光、匂いといった五感からの刺激に強く反応したり、あるいは、物事を深く考え込む傾向があったりします。このような特性を持つ人は、人口の約15~20%いるとされており、決して珍しい存在ではありません。

HSPの概念が広まることで、「自分だけがおかしいのではないか」という孤独感を抱えていた多くの人々が、自身の特性に納得し、安心感を得られるようになりました。HSPの人は、共感能力が非常に高く、他者の気持ちを深く理解できるため、人間関係において深い絆を築くことができます。また、細部に気づく力や、物事を多角的に捉える視点を持っているため、クリエイティブな分野や、人の心をケアする分野でその才能を発揮することが多くあります。

あなたがもし「繊細さん」であると感じているなら、その特性をどう理解し、どうすれば生きづらさを軽減し、その素晴らしい能力を最大限に活かせるのか、具体的なヒントを与えてくれます。自分の感受性の高さは、決してネガティブな要素ではなく、むしろあなただけのユニークな強みとなるのです。

共感力と創造性:繊細な心が生み出す「強み」

「傷つきやすい」という特性は、しばしば「打たれ弱い」と誤解されがちですが、実際には非常に豊かな共感力と、そこから生まれる創造性の源泉となり得ます。例えば、他者の痛みを敏感に察知できる共感力は、友人や家族との深い絆を育むだけでなく、仕事の場面においても、顧客のニーズを的確に理解し、寄り添った提案をする上で大きな強みとなります。人の感情の機微を読み取れるからこそ、より細やかな配慮ができ、信頼関係を築きやすいのです。

また、五感から多くの情報を受け取る繊細さは、芸術やデザイン、音楽、執筆といったクリエイティブな分野でその真価を発揮します。普通の人が見過ごすような細部に気づいたり、複雑な感情のニュアンスを表現したりする能力は、まさに繊細な心から生まれるものです。

例えば、あるHSPの読者の方は、「些細な音にも敏感で困っていたが、それを活かして作曲活動を始めたら、他では生まれない独特のメロディが生まれた」と語っていました。本書では、このように「傷つきやすい」という特性を、どのように「共感力」や「創造性」といったポジティブな側面へと昇華させていくか、具体的な考え方や実践的なヒントが紹介されています。自分の感受性の高さを嘆くのではなく、それを「自分だけの宝物」として受け入れ、磨いていくことで、あなたの可能性は無限に広がるでしょう。

繊細な心との付き合い方:具体的なヒント

自分の「傷つきやすさ」を強みとして活かすためには、まずその特性を理解し、適切に付き合うことが重要です。本書では、繊細な心を大切にしながら、より快適に生きるための具体的なヒントが提供されています。例えば、外部からの刺激に圧倒されがちな場合は、意識的に一人の時間を作り、静かな環境で心身を休めることの重要性が説かれています。また、情報の洪水に疲弊しないよう、SNSとの付き合い方を見直したり、ニュースに触れる時間を制限したりすることも有効です。

さらに、人間関係においては、自分の感じたことを無理に抑え込まず、信頼できる人に話すことの重要性も述べられています。繊細な人は、他者の感情を汲み取る一方で、自分の気持ちを伝えることが苦手な場合がありますが、心の内に抱え込まず、アウトプットする習慣をつけることで、ストレスを軽減することができます。

また、完璧主義を手放し、自分に優しくなる練習をすることも大切です。些細なことで自分を責めるのではなく、「これも自分らしさ」と受け止めることで、心の負担は大きく軽減されます。本書を読むことで、あなたは自分の繊細さと上手に付き合い、心のバランスを保ちながら、前向きに毎日を過ごすための具体的な方法を見つけることができるでしょう。

繊細なあなただからこそ築ける豊かな未来

「傷つきやすい」という特性は、時にあなたを苦しめるかもしれませんが、本書を通してその本質を理解し、向き合うことで、それはあなたの人生を豊かにする最高のギフトへと変わります。あなたの持つ豊かな感受性、深い共感力、そして細部に気づく力は、人間関係を深め、創造的な活動を促し、他者への貢献を可能にする、かけがえのない才能です。本書は、その才能を最大限に引き出し、あなたが本来持っている輝きを取り戻すための道しるべとなるでしょう。

自分の「傷つきやすい」部分を隠すのではなく、むしろそれを誇りに思い、肯定すること。そうすることで、あなたはより真の自分と繋がり、周りの人々との関係もより深く豊かなものになるはずです。この本は、あなたが「もう、いやだ!」と感じた時に、立ち止まり、自分を見つめ直し、そして「繊細な私だからこそできること」を見つけるための勇気を与えてくれるでしょう。

「もう、いやだ!」と思った時のこころの立て直し方: うまいこと「やりすごす」ヒント

¥ 847

真面目な人ほど、悩みや問題に行き当たると、それを克服しようとしたり、それができない自分を責めたくなります。そんなとき、「いろいろ困ったこともあるけれど、ま、今日はいいか」こんなふうに考えられたらいいですね。当たり前すぎて簡単だけど、案外むずかしい「こころの立て直し方」を手に入れてみませんか。


記事コメント


コメントはまだありません。

この記事の書籍はこちら


著者 本橋京子
カテゴリ 人間関係
出版社 三笠書房
出版日 2024年1月30日
おすすめの読者
30代女性40代女性
30代男性40代男性
この本を書いた人
パーパス 誰もが「自分を知って自分で癒せる」社会創造
職業 精神科医、医学博士(中国医学)、医学コラムニスト
カテゴリ

#心理

#メンタル

#自己啓発