展示会営業®を実践して得られる未来像
本書『展示会のプロが見つけた 儲かっている会社は1年に「1回」しか営業しない理由!』の連載も、いよいよ最終回を迎えました。これまでの回で、展示会営業®の基本概念や具体的なメリット、様々な営業課題への解決策について解説してきました。最終回となる今回は、「では、具体的にどうやって始めればいいのか?」という実践ステップと、展示会営業®を導入することで実現する未来像についてお伝えします。
著者の清永健一氏は、「展示会営業®は単なる営業手法ではなく、会社全体を『儲かり体質』に変える経営改革である」と強調しています。実際に、清永氏がコンサルティングした多くの企業が、展示会営業®の導入を契機に大きく成長しています。あなたの会社も、この手法を取り入れることで、どのような変化を遂げることができるのでしょうか?
展示会営業®を始めるための5つのステップ
展示会営業®を成功させるためには、計画的かつ戦略的なアプローチが必要です。清永氏は、展示会営業®を始めるための5つのステップを提案しています。
■【ステップ1:現状分析と目標設定】
まず最初に行うべきは、自社の営業活動の現状分析です。「どの営業活動にどれだけのコストがかかっているか」「それぞれの活動からどれだけの成果が得られているか」を数値で把握します。その上で、展示会営業®を通じて達成したい具体的な目標を設定します。
ある機械部品メーカーは、現状分析の結果、飛び込み営業と電話営業に多くの時間とコストを費やしているにもかかわらず、成果が低いことが判明。「1年後に営業コストを30%削減しながら、新規顧客を20%増加させる」という明確な目標を設定しました。
■【ステップ2:最適な展示会の選定】
次に、自社のターゲット顧客が多く来場する展示会を選定します。業界の主要展示会、地域密着型の展示会、特定テーマの専門展示会など、様々な選択肢の中から、最も費用対効果の高い展示会を見極めることが重要です。
清永氏は「出展料だけでなく、来場者の質と量、競合の出展状況、過去の実績などを総合的に判断すべき」とアドバイスしています。ある食品機械メーカーは、3つの候補展示会を比較検討し、来場者の業種構成と意思決定権を持つ来場者の割合を重視して選定。結果的に、最も効果的な展示会への出展が実現しました。
■【ステップ3:展示会前の準備計画】
展示会の成功は準備で8割が決まると言われています。出展の3〜6ヶ月前から計画的に準備を進めることが重要です。具体的には、「ブースデザイン」「展示内容」「プレゼンテーション資料」「スタッフ教育」「事前告知」などの準備が必要です。
特に重要なのが「ターゲットを明確にした訴求内容の決定」です。「誰に、何を、どのように伝えるか」を明確にし、それに基づいたブース設計やプレゼンテーション内容を準備します。ある精密機器メーカーは、展示会の4ヶ月前から週1回の準備会議を開催し、ターゲット顧客の課題解決に焦点を当てたプレゼンテーションを入念に準備。その結果、来場者の関心を集め、多くの商談につなげることができました。
■【ステップ4:展示会当日の運営体制】
展示会当日は、限られた時間の中で最大の成果を上げるための運営体制が重要です。清永氏は「役割分担の明確化」「商談の効率化」「情報収集の徹底」の3点を特に重視しています。
具体的には、「受付係」「説明係」「商談係」「情報収集係」など、役割を明確に分担し、それぞれが最大限の効果を発揮できる体制を整えます。また、「ヒアリングシート」を活用して商談内容を漏れなく記録し、後のフォローに活かします。ある建材メーカーは、清永氏のアドバイスで役割分担を徹底し、前回の展示会と比較して商談件数が1.5倍に増加しました。
■【ステップ5:展示会後のフォロー計画】
展示会の真の成果は、展示会後のフォローで決まります。清永氏は「展示会終了後1週間以内に初回コンタクトを取ること」を強く推奨しています。また、見込み客を「有望度」によって分類し、優先順位をつけてフォローすることも重要です。
ある電子部品メーカーは、展示会後のフォロープロセスを標準化し、「3日以内のお礼メール」「1週間以内の資料送付」「2週間以内の電話フォロー」「1ヶ月以内の訪問提案」というステップを徹底。その結果、展示会で獲得したリードの成約率が従来の2倍に向上しました。
清永氏は「この5つのステップを着実に実行することで、初めて展示会営業®の効果を最大化できる」と強調しています。
展示会営業®を成功させるための3つの実践ノウハウ
展示会営業®を成功させるためには、いくつかの重要なノウハウがあります。清永氏は、特に以下の3つのポイントを強調しています。
■【ノウハウ①:差別化されたブース設計と展示内容】
展示会では、来場者の注目を集めるブース設計と展示内容が重要です。しかし、単に「目立つ」だけでは不十分で、ターゲット顧客に対する明確な価値提案が必要です。
清永氏は「3秒の法則」を提唱しています。つまり、来場者がブースの前を通過する約3秒の間に、「何の会社か」「何ができるのか」「どんな価値があるのか」を伝える必要があるのです。
ある特殊金属加工メーカーは、従来の「製品展示中心」のブースから、「課題解決型」のブースに変更。「こんな加工でお困りではありませんか?」という問いかけと、その解決事例を大きく掲示することで、ターゲット顧客の足を止めることに成功しました。来場者からの問い合わせは前回比2倍に増加し、具体的な商談につながりました。
■【ノウハウ②:効果的な商談と情報収集の技術】
展示会での商談は、通常の営業訪問とは異なるアプローチが必要です。限られた時間の中で、来場者の課題を素早く把握し、適切な提案につなげる技術が求められます。
清永氏は「SPIN質問法」の活用を推奨しています。これは「状況質問」「問題質問」「示唆質問」「解決質問」の4つのステップで構成される質問技法です。この方法を使うことで、短時間でも来場者の本質的なニーズを引き出すことができます。
ある産業機械メーカーは、展示会前にスタッフ全員にSPIN質問法のトレーニングを実施。その結果、「単なる製品説明」から「課題解決型の商談」へと質が向上し、具体的な見積もり依頼につながる商談が30%増加しました。
また、情報収集も重要です。来場者の反応、競合ブースの状況、業界トレンドなど、展示会でしか得られない情報を体系的に収集することで、その後の営業戦略や製品開発に活かすことができます。
■【ノウハウ③:組織的なフォロー体制の構築】
展示会の成果を最大化するためには、組織的なフォロー体制の構築が不可欠です。清永氏は「フォローの3原則」として、「スピード」「継続性」「一貫性」を挙げています。
具体的には、展示会終了後すぐに「フォローアップ会議」を開催し、獲得したリードの優先順位付けと担当者の割り当てを行います。また、CRMツールなどを活用して、フォロー状況を可視化し、組織全体で共有することも重要です。
ある建材メーカーは、展示会後のフォロー体制を改革し、「フォローアップ専任チーム」を設置。営業担当者が日常業務に追われてフォローが遅れるという問題を解消し、全てのリードに対して1週間以内のコンタクトを実現しました。その結果、成約率が40%向上したのです。
清永氏は「展示会営業®の成否は、この3つのノウハウをいかに自社に合った形で実践できるかにかかっている」と強調しています。
展示会営業®導入後の「儲かり体質」企業の姿
展示会営業®を導入し、定着させることで、企業はどのように変化するのでしょうか。清永氏がコンサルティングした企業の多くに見られる「儲かり体質」の特徴を紹介します。
■【特徴①:効率的な営業体制の確立】
展示会営業®を導入した企業の最も顕著な変化は、営業活動の効率化です。「量」から「質」への転換により、少ない営業リソースで大きな成果を上げられるようになります。
ある産業機械メーカーは、展示会営業®の導入により、営業担当者の数を増やすことなく売上を30%増加させることに成功しました。また、営業担当者の残業時間も月平均20時間から8時間に減少し、働き方改革と売上アップを同時に実現しています。
■【特徴②:高い利益率の実現】
展示会営業®は、単に売上を増やすだけでなく、利益率の向上にも貢献します。営業コストの削減と、質の高い顧客との取引増加により、収益構造が改善されるのです。
ある電子部品メーカーは、展示会営業®の導入後、営業コストが25%削減される一方、高付加価値製品の販売比率が増加。その結果、営業利益率が8%から12%に向上しました。社長は「展示会営業®は、売上と利益の両方を伸ばす『一石二鳥』の手法だった」と評価しています。
■【特徴③:強固な顧客基盤の構築】
展示会営業®を通じて獲得した顧客は、一般的に長期的な取引につながりやすいという特徴があります。これは、展示会という場で双方が「選び、選ばれる」関係を構築できるためです。
ある特殊加工メーカーは、展示会で獲得した顧客の継続取引率が、他の営業チャネルと比較して30%高いというデータを得ています。また、展示会をきっかけに始まった取引は、平均単価も15%高い傾向にあります。
■【特徴④:組織全体の成長と活性化】
展示会営業®は、営業部門だけでなく、組織全体の成長と活性化をもたらします。部門間の連携強化、若手社員の成長機会の創出、市場の声を活かした製品開発など、多面的な効果が期待できます。
ある食品機械メーカーでは、展示会を「全社プロジェクト」と位置づけたことで、営業と開発の連携が強化。市場ニーズを反映した新製品開発のサイクルが加速し、新製品の売上比率が25%から40%に向上しました。
清永氏は「展示会営業®を通じて『儲かり体質』を実現した企業に共通するのは、単なる営業手法としてではなく、経営戦略として展示会営業®を位置づけている点」と指摘しています。つまり、経営者自らが展示会営業®の価値を理解し、全社的な取り組みとして推進することが成功の鍵なのです。
読者へのメッセージ――展示会営業®で会社を変える第一歩
最後に、著者・清永健一氏から読者へのメッセージをお伝えします。
「本書を手に取られた皆さんは、おそらく現在の営業活動に何らかの課題や悩みを抱えていることでしょう。人材不足、営業コストの高さ、新規開拓の難しさ…。これらの課題は、従来の営業手法の延長線上では解決が難しいものばかりです。
展示会営業®は、そうした課題を根本から解決するための『パラダイムシフト』です。
『量』から『質』へ、『プッシュ型』から『プル型』へ、『個人プレー』から『チームプレー』へ。この転換こそが、これからの時代に求められる営業のあり方だと私は確信しています。
もちろん、展示会営業®の導入には、一定の準備と投資が必要です。しかし、1,000社以上の支援実績から言えることは、正しい方法で取り組めば、その投資は必ず何倍もの形で返ってくるということです。
展示会営業®を始める第一歩は、まず自社の営業活動を客観的に見つめ直すことです。『本当に効果的な営業活動とは何か?』『限られたリソースをどこに集中すべきか?』こうした問いに真摯に向き合うことから、変革は始まります。
本書が、皆さんの会社を『儲かり体質』に変えるきっかけとなれば、著者として、これ以上の喜びはありません。展示会営業®という新しい営業のカタチで、皆さんの会社が大きく飛躍することを心から願っています。」
清永氏のこのメッセージには、1,000社以上の中小企業を支援してきた経験と、展示会営業®への揺るぎない確信が込められています。あなたの会社も、展示会営業®を通じて「儲かり体質」への転換を図ってみませんか?本書には、その具体的な方法論が詳細に記されています。
実践的なヒント・考察
・まずは自社に最適な展示会を1つ選び、集中的に取り組んでみる
・展示会前・当日・後の一連のプロセスを文書化し、PDCAサイクルを回す
・経営者自らが展示会営業®の価値を理解し、全社的な取り組みとして推進する
本書『展示会のプロが見つけた 儲かっている会社は1年に「1回」しか営業しない理由!』には、この連載でご紹介した内容以外にも、具体的な事例や実践ノウハウが満載です。特に、展示会前の準備チェックリスト、当日の商談テクニック、効果的なフォローの方法など、すぐに使える実践的なツールが豊富に掲載されています。営業改革を本気で考える方は、ぜひ本書を手に取ってみてください。