放置は危険!?鼠径ヘルニアの真実と、放置が招く深刻なリスク
「また膨らんできたな…でも、手で押し込めば元に戻るし、まだ大丈夫か」。そう思っていませんか?あるいは、「なんとなく違和感はあるけれど、日常生活に支障はないから、もう少し様子を見よう」と、自分に言い聞かせているかもしれません。
私たちは、ついつい自分の身体の不調に対して、「大丈夫だろう」という楽観的な見方をしてしまいがちです。特に、緊急性の低いと思われる症状や、デリケートな部分の悩みとなると、医療機関への受診をためらってしまうのも無理はありません。しかし、その「大丈夫だろう」が、後々大きな問題に発展してしまう可能性を秘めているとしたら、どうでしょうか?今回は、『1日で直せる鼠径ヘルニア読本』が私たちに警鐘を鳴らす、鼠径ヘルニアを放置することの危険性と、それによって生じる深刻なリスクについて、詳しく掘り下げていきましょう。

鼠径ヘルニア、そのメカニズムとは?進行するとどうなる?
まず、鼠径ヘルニアがどのような状態なのかを、もう少し詳しく見ていきましょう。この病気は、お腹の中の臓器(主に腸の一部など)が、鼠径部(太ももの付け根あたり)の筋膜の弱い部分から、皮膚の下に飛び出してくる状態を指します。いわば、お腹の壁にできた「穴」から、臓器が「脱出」してしまうようなイメージです。
初期の段階では、飛び出した部分を手で押し込むと元に戻ったり、横になると自然に引っ込んだりすることが多いため、「まだ大丈夫」と自己判断してしまうケースが少なくありません。しかし、この「穴」は自然に塞がることはありません。残念ながら、鼠径ヘルニアは、手術をしない限り、自然治癒することは絶対にないのです。そして、一度できた穴は、時間の経過とともに、少しずつ、しかし確実に大きくなっていく傾向があります。穴が大きくなればなるほど、飛び出す臓器の量も増え、症状も悪化していく可能性が高まります。

放置が招く最大の恐怖、「嵌頓(かんとん)」とは?
「穴が大きくなる」こと以外に、鼠径ヘルニアを放置することで最も恐ろしいリスクが、「嵌頓(かんとん)」です。これは、飛び出した腸などが、ヘルニアの「穴」に強く締め付けられてしまい、元に戻らなくなってしまう状態を指します。想像してみてください。腸が締め付けられるということは、血流が途絶え、壊死してしまう可能性があるということです。
嵌頓が起こると、激しい痛み、吐き気、嘔吐、発熱などの症状が突然現れ、緊急手術が必要となる場合がほとんどです。壊死した腸を切除しなければならないこともあり、場合によっては命に関わる事態に発展する可能性もゼロではありません。本書の著者の池田義博医師も、「手術をしないと治りません。でも早期発見すれば、1日で治ります」と語るように、早期発見と適切な対応がいかに重要であるかを強調しています。この嵌頓状態になる前に、いかに早く対処するかが、その後の生活を大きく左右するのです。

あなたの生活、本当に大丈夫?日常に潜む鼠径ヘルニアの落とし穴
鼠径ヘルニアは、放置すると日常生活にも大きな影響を及ぼします。例えば、重いものを持ったり、咳やくしゃみをしたり、いきんだりする際に、お腹に力がかかると、ヘルニアの膨らみが大きくなり、不快感や痛みを伴うことがあります。
PDFの「自己診断チェックシート」にもあったように、「歩き方が少し傾いている」「長時間歩いたり、同じ場所に座ったりしていると太もものつけ根が痛そう」「大浴場に入りたがらなくなった」「片方のポケットに手を入れ、何かを押さえるしぐさをしている」といったご家族やパートナーの行動変化に気づくこともあるかもしれません。これらは、ヘルニアによる不快感や痛みが、知らず知らずのうちにその人の行動を制限しているサインなのです。特に男性の場合、鼠径ヘルニアが陰嚢(いんのう)にまで及ぶ「陰嚢水腫(いんのうすいしゅ)」を併発することもあり、見た目の問題だけでなく、日常生活での不便さや、さらなる痛みを伴うこともあります。このような状態が続けば、趣味や仕事、旅行など、人生を楽しむための活動が制限されてしまい、精神的な負担も大きくなってしまいます。痛みや不快感を我慢しながらの日々は、想像以上に心身にストレスを与え、生活の質を著しく低下させてしまうのです。

知ること、そして行動することの重要性
発見すれば、1日で治ります」と、繰り返し訴えています。この言葉には、決して不安を煽る目的はありません。むしろ、この病気について正しく知り、早期に行動することこそが、あなたの未来を大きく変えるという、強いメッセージが込められています。
放置することによるリスクを正しく理解し、自分の体のサインを見逃さないこと。そして、不安を感じたら、すぐに専門医に相談すること。それが、あなたの健康と、豊かな人生を守るための第一歩となるのです。この本は、その第一歩を踏み出すための、あなたの心強い味方となってくれるでしょう。
次回の連載では、『1日で直せる鼠径ヘルニア読本』を読むことで得られる具体的なメリットや、この本がどのようにあなたの不安を解消し、より良い未来へと導いてくれるのかを、さらに詳しく深掘りしていきます。どうぞご期待ください。